* この話は記憶喪失編→記憶喪失編外伝 罪と罰→本作となっております
  前作で起きた出来事は「あの事件」とさせて頂きますのでご了承ください





 
それは1本の電話から始まった・・・・・

Trrrr Trrrrr

電話が鳴り、受話器をとる小町
だが、彼女は知らない
この電話が彼女たちの試練とも言うべきものの到来を告げるものであることを・・・・




記憶喪失編外伝続編 償いと誓い 1話




 
「はいもしもし、桜井ですが」
『その声は小町ちゃんか!?』
「ど、どうしたんですか拓哉先生・・・・・そんなに慌てて」
『舞人の奴が事故で担ぎこまれた!!今すぐ黒新病院に来てくれ!!』
「っ!!!そ、そんな・・・・・」

顔を真っ青にして受話器のそばで固まる小町

『舞人は頭を打っていてまだ意識が戻ってない・・・・・とりあえず来れる子達で来てくれ』
「わ、わかりました!!すぐに伺います!!」
『頼むぞ・・・・じゃ、待ってるよ』

そして受話器を置いた小町はすぐさま行動を開始する

「た、大変です!」
「ど、どうしたの小町ちゃんそんなに慌てて」
「舞人さんが事故に合って黒新病院に・・・・・!!」
「「「そ、そんな!?」」」

同じように顔を真っ青にして小町に詰め寄る面々
とりあえず小町から事情を聞くとすぐに出かけることになった

「とりあえず私のエスティマで行くわよ!!ほら、早く乗って!!」

そして車に乗り込んだ妻たちは病院へと向かう
車中で舞人の安否を気遣いながら・・・・・・・・・





―黒新病院―

病院に着いた妻たちは、看護士 霧島 芹の案内で病室へと案内された
そこに居たのは寝ている舞人と舞人の主治医 霧島 拓哉
拓哉は舞人の主治医ということで、早速現在の状況を説明しだした

「サーキットから帰る途中、後ろから追突されてそのまま電信柱に追突したらしい」
「スープラを車検に出して代車を運転してたからね・・・・」
「ああ。軽自動車だからな・・・・・その時頭を強く打ったみたいだ」
「それで舞人君の容態は?」
「命に別状はない。あとは舞人の回復を待つだけだ。舞人の傍に居てやってくれ」

そう言い残して出て行く拓哉と芹
程なくして舞人が目を覚ました

「ん・・・・・ここは・・・・・?」
「ま、舞人君!!よかった・・・」
「俺は一体・・・・・っ!思い出した、俺は事故に合って・・・」
「そうだよ舞人・・・・もう、あんまり心配させないでよ」

そう言って微笑む妻たち しかし・・・・・

「・・・?君たちは誰なんだ・・・・?」
「・・・・・え?舞人君今なんて・・・・」
「俺は君たちとは初対面のはずなんだが」
「「「「っっっっっ!!」」」」

その言葉は希望たちの経験したあの事件の記憶を蘇らせるのには十分すぎるものだった
対して舞人は、希望たちに警戒心を抱いている
舞人はとりあえず拓哉たちを呼び出すことにした

『はい、どうされました?』
「今、目が覚めたんで」
『はいわかりました。今霧島先生をお呼びしますので』

そう言って切れる会話
希望たちはあの悪夢を思い出してしまい顔が真っ青になっている
程なくして拓哉と芹がやって来た

「お、舞人気がついたか」
「あれ?希望ちゃんたちどうしたの?顔真っ青だよ?」
「「「「「・・・・・・」」」」」
「あ、拓哉先生」
「ったく、あんまり奥さんたち心配させるなよ」
「え・・・・・お、奥さん!?」
「「・・・・・え?」」

驚愕する舞人とその反応を見て固まる拓哉と芹
彼らは希望たちの担当でもあったためあの事件のことをよく知っている
しばらく部屋の中に静寂が流れた後、拓哉と芹は希望たちを退室させ、事情を聞くことにした

「んで、舞人。本当にあの子達の事知らないのか?」
「ええ、っていうか拓哉先生たちは知ってるんすか?」
「ああ、あの子達の担当だったからな」

そうしていくつかの質問をする拓哉とそれに答える舞人
大体の質問を終えた拓哉はとりあえず舞人を休ませることにした

「嘘でしょ・・・・なんでまたこんなこと・・・・」
「落ち着け、芹・・・・・とりあえず今は休むんだ舞人。説明はあとでしてやるから」
「了解っす。んじゃお休みなさーい・・・・・・」

そう言いつつ布団に潜り寝る舞人
拓哉は芹を支えつつ部屋を出て行く
そして希望たちを別の部屋に集め状況説明をすることにした





―別室―

「一種の記憶喪失だな・・・・話を聞くと希望ちゃん達の事だけが忘れられてるみたいだ」

そう言いながらため息をつく拓哉
希望たちは必死にあの事件の再現という恐怖と戦っている

「とにかく少し様子を見て家に帰らせよう。他に外傷がなかったことが救いだな」

そう拓哉が言い放った言葉に頷く妻たち
そしてその場は解散という形になった
帰宅していく希望たちを見て拓哉はこう呟いていた





「舞人、これもお前が背負った運命なのか・・・・・?」と・・・・・







END





後書きはこの話の完結編で書かさせて頂きます
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