あれからどのくらいの時間がたっただろうか
周りは真っ暗で何も見えず、俺がここにいるという事しか感じ取れない

「ここは・・・・どこなんだ・・・?」

俺がそう呟くと突如二つの人の形をした光が現れた
突然現れたので驚いたが、何故か俺はこいつらの事を知っている気がした
ずっとずっと昔から一緒にいたような感覚を感じ取っていた・・・・




記憶喪失完結編 罪と罰、そして・・・・ 後編




二人が現れると同時に色づく世界
自然に満ち溢れ、清清しい空気がとても心地よい
だがそんな事に気を取られてる余裕は俺にはなかった
そして二つの声が頭の中に飛び込んできた

「よう、舞人。でっかくなりやがったな」
「久しぶり・・・・でもないね。僕はずっと君と一緒にいたんだから」

二人の声はそいつらが誰の物であるかをすぐに分からせてくれた
一つ目は親父、二つ目は・・・・生まれ変わる前の「舞人」、つまり昔の俺だった

「とりあえず、色々と聞きたい事があるんだが」
「おう、言ってみろ」
「まず、此処はどこなんだ?」
「此処は生と死の狭間の空間。言ってみれば生あるものが死者に出会うための場所ってとこかな」
「次だ。何故俺はここにいる?」
「俺達が呼んだんだよ。お前に伝えなきゃいけねえことがあるからな」
「伝えたい事・・・?」
「それは今から話すよ。もう質問はないかな?」
「じゃあ、最後だ・・・・俺は・・・・死んだのか・・・・?」
「いいや、まだ死んでねーよ。第一、まだお前にはやることが残ってんだろ?」
「そうだよ。まだ君には機会が残されているんだから」
「だが・・・・俺はいくら愛しても忘れられて・・・」
「「大丈夫」」
「えっ・・・・?」

二人の話を要約するとこういう事らしい
皆が俺の事を忘れてしまうのは俺と「舞人」が生まれ変わる際に分裂してしまったせいだそうだ
あの桜の丘の力が「舞人」をアンテナ代わりにして俺を引き戻そうとする
その為に周りの皆が俺の事を忘れてしまうという事なのだそうだ

「じゃあ、どうすればいいんだ?」
「僕と君が一つになればいい。もちろん君だけの意識が残るけどね」
「お前と「舞人」が一つになる、つまり融合すればあの桜の丘の力を無効化できるってこった」
「なるほど・・・・だけどいいのか?それじゃお前が消えてしま「いいよそれで」・・え?」
「僕たちはもともと一つだった。だから元に戻るだけなんだ。だから大丈夫」
「そうか・・・・なら」

そうと決まれば話は早い
さっさと終わらせて皆の元に返ろう
まだ・・・・終わらせるわけにはいかないんだ!!

「さあ、もう時間がない。早速始めよう。彼女たちが待っている」
「ああ、それと親父・・・・」
「おっと、さよならはなしだぜ、舞人。また会えるときがくるさ」
「・・・・ああ、分かってる。またな・・・・・親父」
「またな・・・・舞人。皆を幸せにしてやれよ・・・・」
「・・・ああ!!」
「じゃあ、いくよ・・・・」

そして光が視界いっぱいに広がり体の感覚がなくなっていく
皆待っててくれ・・・・必ず戻る!!

「頑張って下さい・・・・今度こそ貴方は幸せを掴める筈です」
「親愛なる君よ、君は解き放たれた。幸運を祈っているよ」

俺は薄れ行く意識の中でかつて一緒にいた二人の声を聞いていた
そして最後にこう告げた 「ありがとう、行ってくる」と・・・・・





「・・・・知らない天井だ」

俺は使いまわされたネタを呟きつつ目を覚ました
体を見ると包帯を巻かれまくっていて大怪我を負ったことが一目瞭然だった
ふと、カレンダーを見ると、なんと一ヶ月が経っていた

「そんなに寝ていたのか・・・・あいつらどうしてるかな」

俺がそう呟くと同時に複数の足音が聞こえてくる
そしてドアが開き、先頭にいた希望がびっくりした様子でこちらを見ている
俺は知らず知らずのうちにずっと言いたかった言葉を紡いでいた

「みんな、ごめんな。心配かけて・・・・ただいま。」

そう言い終わると同時に、俺に駆け寄りしがみ付いて嬉し泣きをする妻たち

「舞人君・・・無事で・・・・よかっ、た・・・・」
「まったく・・・あんまり・・・心配、かけないで、よお・・・」
「本当に・・・・本当に、良かったです、舞人さあん・・・・」

俺は自然と浮かんでくる涙を止める事が出来なかった

「みんな・・・・俺は、もう一度皆と同じ道を歩みたい。俺のこと・・・許してくれるか?」

俺がそう言い終わると小町と希望が微笑みながらこう告げてきた

「最初から許してますから大丈夫ですよ。謝らなきゃいけないのはこっちの方ですし」
「そうだよ舞人君。ごめんね、今まで支えてあげられなくて・・・・桜花ちゃん達に全部聞いたよ
 あと、あの人達とはもう会わないって話をつけてきたから」
「そうか・・・・・あいつらが教えてくれたのか・・・・」

桜花、朝日。ありがとう・・・皆分かってくれたよ・・・

「舞人、みんなあんたが帰ってくるのを待ってる。だから・・・・」
「ああ、分かってるよつばさ。体が治ったらみんなで帰ろう。今度こそ本当の家族になる為にな」

俺がそう言うと皆は顔いっぱいに笑みを浮かべて「はい!」と答えてくれた
その笑顔を見た俺はこう考えていた

これから先も幾多の苦難が俺達を待ち受けているだろう
でも、俺達はもう離れる事はない
幾多の受難を乗り越えて勝ち得た家族という名の絆
それがある限り俺達は決して独りになる事はないのだから

そんな俺の考えを助長するように寄り添ってくる妻たち
俺はこの大切な人達と共に歩んでゆく
これから先にあるであろう、幸福で退屈しない未来を信じて・・・・・・




後書き

これにて閉幕と相成ります!!
華蓮「意外に早く出来上がったわね」
翠「思いつきだけで書いてる人なのに」
うっさい!!自分では納得できるものなんだよ!
華蓮「・・・・・単純へたれSS作家」
うぐっ!!痛いところを・・・とにかく締めるぞ!!

「「「ご意見、ご感想は掲示板かsyuu1kun@navy.livedoor.comへお願いします。では!!」」」