ホワイトデー特別小説
 稟くんのホワイトデー奮闘記                       
 written by 龍馬&お龍


ホワイトデー前日・・・

「どうすればいいんだよ・・・」

ついついそう一言漏らしてしまう。
その一言を漏らした彼―土見稟は今大変悩んでいた・・・。
その悩みとはもちろんホワイトデーのお返しである。

例年ならこんなことに悩む必要が無かった。
何故ならバレンタインチョコをくれる相手は、楓と亜沙先輩、そしてカレハ先輩くらいであった。
他にも身元がわからないチョコレートがあったが、相手がわからないのでお返しはできなかった。
(といっても楓からチョコをもらうだけで、周りから殺気が浴びせられていたが・・・)

そういつもだったら迷う必要が無いのだ・・・。
しかし今回ばかりは違う。
それは、いつものメンバーにシアとネリネ、プリムラが加わったからだ。
いつもならクッキーでも買って、それを渡してホワイトデーのお返しとしているが、
今回ばかりはそうもいかないだろう・・・。

稟自身としては彼女たちの喜ぶ顔がみたい・・・
そのためには、いつもと同じでは何か味気ない。
(彼女たちは彼からもらえるものならなんでも喜ぶと思うが・・・)
本当なら彼女たちからほしいものを聞けばいいのだが、
いまさら聞くにしても、ホワイトデーはもう明日・・・遅すぎる。

どうして前々から準備をしておかなかったのだろう?
今更になって悔やんでしまう。
かといってこのまま何も渡さなければ、きっと彼女たちは悲しむだろう。
それだけは避けたい事態である。
なので結局は・・・

「どうすればいいんだよ・・・」

と繰り返すばかりである・・・。










そしてホワイトデー当日 −昼休み−

「それで何も準備できなかったわけ?」
「すいません…」

あれから結局俺は何も買うことが出来ず、ホワイトデーの準備を出来なかった。
そのため、俺は正直に土見ラヴァ―ズ(俺自身がいうのは抵抗があるが…)の面々ので
そのことを話した。
そして話した後のみんなの様子は、明らかに落胆した様子という予想したとおりのものだった。
そしてその後に最初に掛けられたのが、先程の亜沙先輩の言葉だった。

「本当にごめん…」

俺はその場でただ謝ることしかできなかった。
そして次に聞こえたのは、「フゥ…」という溜息だった。

「いいわ、稟ちゃん。許してあげる」

また第一声を発したのは亜沙先輩だった。

「どうせ稟ちゃんのことだから、ボク達に喜んでもらえるものを探してたけど、
見つからなくて用意が出来なかったっていうことでしょ?それならボクとしては
稟ちゃんを怒る気にはなれないよ」

「私も稟くんからもらえないのは残念だけど、稟くんのことだから亜沙先輩がいうように
私たちのことを考えてくれたんだから…」

とシア。

「私もシアちゃんや亜沙先輩と同じ意見です…それは…稟さまからいただけないのは残念ですが…」

とネリネ。

「私も皆さんと同じです」

と楓。

「お兄ちゃんからもらえないのは残念だけど…」

とプリムラ。

みんな、俺に笑ってそう言ってくれた。
俺はみんなが悲しむだろうと思っていたが、亜沙先輩から意外な言葉が出て、
しかもみんながその言葉に同意するとは思ってもいなかった。
だから結果的には俺は許されたことになる。

俺はこのときばかりは亜沙先輩の言葉に感謝した…が、
こんなことで許してくれるわけがなかった。

「だけど稟ちゃん。だからといって稟ちゃんのプレゼントを期待してたボク達の想いを
踏みにじった罪は重いよ?」

と、亜沙先輩の(意味のありげな)言葉。
このとき俺はその言葉と同時に、亜沙先輩だけでなくシアやネリネ、楓にプリムラの頬が
若干赤くなっていたことに気がつかなかった…。


その日の夜、何故か芙蓉家の家から別々の女性の喘ぎ声が響いていたとか、
神王家と魔王家の両父王が、「祝杯だ!」とかいって二人で飲み明かしていたとか、
次の日の朝、土見ラヴァ―ズの面々が嬉しそうな顔で朝帰りしていて、お肌がテカテカだったとか
そんなことがあったかどうかは定かではない…。
しかし、土見稟がクラスメイトの某色情魔と某パパラッチ娘に絡まれたときよりげっそりとしていたと
いう事実は真実である…。



(Fin)
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<後書き>
−龍馬−
ホワイトデー特別小説をお届けしました…が、
またまた駄文となってしまいました(泣)

今度こそは!と何度も言ってるくせに進歩が出来てません。
何度も何度も申し上げますが、駄文ですいません…。
こんなものでも読んでくれた(物好きな)皆さん、
どうもありがとうございました。

それではまた次回に…。


−お龍−
お久しぶりです。
今回はホワイトデーということなので、久々に私が原案を担当しました。
皆さん、如何でしたでしょうか?

こんな小説でもおもしろいと言ってもらえるととても嬉しいです!
龍ちゃんも張り切って次回作に望んでくれると思います。

それではまたの機会にお会いしましょう!