メカニックの服装の人たちがいっせいにその赤いマシンから離れて
赤いマシンは命がともったようにヘッドライドがつく
そして重低音を響かせてその場を走り去る


MIDNIGHT

第16話
文:太陽 設定・情報:ライス


赤いMITSUBISHIの有名なラリーカーの
ランサーエヴォリューションが駆け下りる

ブレーキで荷重移動をする
ドスッ
そして右足でブレーキを踏んだままアクセルも開く
パァン
ミスファイアリングシステムによりすぐブースト圧があがり
大きな音を響かせる
そしてそのままクラッチを左足ですばやく切り
ギアを下げクラッチを戻す
ググッ
ガコッ
ガコン
パァン
回転数が上がり
そのまますばやくステアを操る
キャキャキャキャ
ドスン
コーナーがコンパクトな赤いランヴォの色に染まる
ブレーキランプの赤に車体の赤
綺麗なRを書いて曲がっていく
抜けたらすぐさま
ブレーキを解除
そのまま4つのタイヤで加速する

一見簡単そうな作業だが祐一は苦戦を強いられている
なぜならスカイラインとは異なるシステムを持つ4WDだからである
祐一のマシンはHCR32のGTS-4
スカイライン初の4WDだがシステムは当時からすごい分類である
まず違いその1はアテーサET-S
スカイラインの特徴である
通常時はFRだが後輪が空転しそうになると
アテ−サが前輪にもパワーを分けスピンを防ぐ画期的なシステム
一方ランエヴォはフルタイム4WDで常時4WDであるから
コーナーの進入とコーナーの脱出が異なる
そして次にマシンのサイズ・ウェイトである
香里のは約1300kgぐらいだろう
しかし祐一のはベースで1400kgである
そしてサイズもスカイラインのが大きいことが一目瞭然である
これらの差は一見そうでもないと思われるが
コーナーではこのサイズの差
加速ではウェイト
そしてコーナーの立ち上がりではアテーサなど
ここの攻略が祐一の勝てる唯一の方法


OTOME峠山頂付近
香里「このマシン パワーーがすごいわね立ち上がりも楽だし
ギアのつながりもいい、いい感じだわ」

名雪「それは祐一の苦労だよ、仕上げは聖(あきら)君や北川君だけど」
栞「だって潤さん プロですから」

女性チームは感想をそれぞれ述べ
最終段階の仕上げに入った

男性チームはとにかく走れ
サスペンションなどをちょっとでもいじっては走るという
テストを重ねている
祐一にできるだけあったセッティングを出したいらしい
祐一もランエヴォにあったステア操作などを探す
ステアのタイミングにアクセルのかけ方
一つ一つ探る
さらに上り下りでも違う探りをする


パァン
ドシュン
ランエヴォが音をとどろかせて峠をのぼり下る
その音だけが峠に響く


お互いの練習も終えて
スタートラインに並ぶ
まず1本目のダウンヒル
秋子さん「5・4・3・2・1・スタート!!」


パァン
ランエヴォの音と
スカイラインの重低音が響く
スタートは同時
この先有利になるのは
イン側の香里
曲がりが入っているくだり道を駆け抜ける
パァン
ドシュッ
お互いのシフトチェンジの音が響く
一つ目のヘアピン
インは香里

ヒールアンドトゥーで回転数を安定させる
ヴゥゥゥゥ
シフトを下げ
曲がる
キャキャキャキャ
その後ろを祐一がついていく
コーナーの立ち上がりでまた並ぶ
パァン
しかしミスファイアリングシステムでその後
グングン加速していく祐一
香里はあせるがリズムを狂わせずに
後ろを追う
祐一がワンテンポ早くブレーキを踏む
そのままアクセルも開き
ヒールアンドトゥー
シフトを落とし
コンパクトなボディで曲がる
その後ろを香里が
GTS-4が笑って追いかける
まるで余裕の微笑みのように
祐一はバックミラーでそれを見て
気が一瞬緩んだ
車体はアンダーが出て
インにコースがまれた
そこに尽かさず香里が侵入
このコーナーで勝負は決まった
その後祐一は動揺で落ち着きがなく
一本目のダウンヒルを落とした


一本目クライムヒル
次回に続く


後記
太陽です
とうとう始まった
決戦
一本目DOWNは香里が制して
クライムヒルはどうなるか
楽しみです

では