「じゃあ、迎えに行くから家で待ってて」
「ういっす、了解です」

ふぅ、これで明日の予定が決まったな・・・・
ひかり姐さん何処に行きたいんだろう・・・・?
ま、明日になりゃ解るか・・・・さぁて寝よ寝よ




桜舞う・あぷろーち 第7話




―翌朝―

「ふぁ〜あ・・・・よく寝たっと・・・」

目覚まし時計の音で起きた俺はすぐさま着替えを開始する
なんせ相手がひかり姐さんだからな・・・・
寝坊でもしようものなら俺の命が保障されなくなる可能性が高い
さて、桜花が作ったメシ食ってとっとと行くか

「おはよう、桜花」
「あ、おはようございますお兄ちゃん♪今日はひかり姉さんとお出かけですよね?」
「ああ、迎えにく「舞人〜、おはよ〜」ってもう来たよおい・・・・」

ひかり姐さんはいつもと同じシンプルな装いで来た
ま、この人らしいな・・・・

「あら、朝ごはんまだだったの」
「ええ、今食い始めたところっす」
「なるほどねぇ・・・・(キュピーン)」
(あ、ひかり姉さん早速攻撃開始ですか・・・・・)

ん?ひかり姐さんなんだかこっちににじり寄ってきて・・・・

「ま・い・と♪はい、あーん♪」
「んな!?ひ、ひかり姐さん!?」
「あ、あはははは・・・・・」

楽しそうなひかり姐さんと焦る俺に苦笑して見守る桜花
この図式は朝食が終わるまで続いたのは言うまでもない・・・・・・




―そのころ星崎家では―

「むむむ・・・・結城先輩さっそく動いてきたね・・・・」

モニターの前で渋い顔をして考え込んでいる黒髪の美少女
いわずと知れた星崎 希望嬢である
ちなみにこの映像は衛星アリエスによって流されている物である

「電話も受信したけど・・・・・舞人君がデートだと思ってないのがまだ救いだよね」

どうやら盗聴も行っているようだ ここまで来るともはや犯罪なのだが・・・・
そこへ入ってきた緑色の髪と八重歯が特徴のこれまた美少女、八重樫 つばさ嬢
休日なので久々に遊びに来たようだが・・・・

「おはよ〜、遊びに来た・・・・って、ちょ、ちょっとゾンミ?これはいくらなんでもやりすぎじゃ・・・・・」
「う〜ん、何か良い方法ないかな〜・・・?」

希望は考え込んでいるようでつばさの存在に気づいていない
つばさは話しかけようとするが、思いとどまってそのまま部屋を出て行った

「舞人にやめさせるように言ってもらお・・・・このままだとあの子とんでもないことやらかすしね・・・」

そして桜井家に向かうつばさ だが、彼女は知らない
この後とんでもない騒動が巻き起こる事を・・・・・・




―その夜、桜井家―

「おい、本当かその話・・・・・」
「うん・・・実際にこの目で見たから・・・・」
「希望さん・・・・・」

深刻な顔で話し合う舞人、つばさ、桜花
しばらく沈黙が続いたのだが不意に舞人が立ち上がった

「ちょっと星崎の家に行ってくる」
「あ、あたしも行くよ」
「わ、私も行きます」

少々こわばった顔で出て行く舞人
それを慌てて追うつばさと桜花
だが、桜花は内心ハラハラしていた

(お兄ちゃんが怒ってる・・・・これはまずい事になるかもしれませんね)

長年舞人の妹をやってるだけあって舞人の事はお見通しなのだろう
そして、星崎家に着く3人 舞人はすぐさまインターホンを押す

「はい、どちらさま?」
「夜分遅くすいません。桜井ですが」
「あら、舞人君?あらら、桜花ちゃんにつばさちゃんも・・・・今開けるわね」

鍵を開けてもらい中に入る舞人たち
母親とつばさの案内で希望の元へ向かう

「あ、あれ?舞人君、どうしたのこんな時間に・・・・」
「どうしたもこうしたもあるかよ・・・・・お前、俺の行動を監視してたらしいな」
「・・・・・・うん。」
「ふざけるな!!お前何様のつもりだ!!人をなんだと思ってやがる!!」

完全にキレて掴みかかろうとする舞人
それを見ていた他の面々が一斉に舞人を抑える

「お兄ちゃん、落ち着いてください!!」
「ま、舞人・・・・・お願いだから落ち着いて・・・・!!」
「舞人君!!落ち着いて!!」

暴れる舞人を押さえ込み、希望を離す面々
舞人は多少は落ち着いたものの、怒りが収まったわけではないようだ
そして、次に舞人が放った言葉は希望を落ち込ませるには十分すぎるものだった

「もう、二度と俺に付き纏うな!!お前なんかに好きだなんて言われても全然嬉しくなんかない!!」
「!! そ、そんな!?」

突然の事に混乱する希望
それを見た桜花はすぐさまつばさに家に連れて行くように指示する
舌打ちしながら出て行く舞人と心配そうに希望を見ながら出て行くつばさ
二人が去った後、桜花は泣き崩れる希望に問いかける

「この後、どうするおつもりですか・・・?」
「わ、わた、しはっ・・・・・・」
「希望さん・・・・・」

この後、希望が立ち直る事はなかった
舞人も部屋に引きこもってしまい、翌日の朝まで出てくる事はなかった・・・・・





―翌日―

翌日になっても舞人の機嫌は直っておらず、希望とは眼も合わせたくないという態度だった
それを見た親衛隊と派手な喧嘩を起こしてしまい、今日はそのまま帰宅する事になった

「ちっ・・・・」

帰宅する途中でも舞人の気分は晴れない
だが、そこへ一人の老婆が現れた

「桜井 舞人君じゃね?」
「そうですが・・・・・貴女は?」
「希望の祖母じゃよ。希望が迷惑をかけたそうだね」
「・・・・」
「ちょっと、わしの家に寄っていかないかい?希望について知ってもらいたい事があるんじゃよ」
「え、ええ・・・・構いませんが・・・・」
「そりゃよかった・・・・んじゃ、付いて来ておくれ」

そして希望の祖母の家に着いた二人
客間に通された舞人はさっそく質問を開始する

「それで、星崎について知ってもらいたい事って・・・・?」

それを見た祖母はゆっくりと希望の過去を語り始めた・・・・

まず、希望はこの家の一人娘で幼少のときはいつも一人でいた事
原因は家柄のせいで友達ができず、祖母の家に来る事だけが楽しみだった事
小学校、中学校と卒業したものの、これといっていい友達ができなかった事
そして高校での舞人とつばさとの出会いとその後の日々・・・・・

「希望は本当に嬉しそうだったんだよ。やっと親友も出来て、好きな人も出来たって言ってたんだ」
「・・・・・あいつ・・・・」
「だから余計に怖がってるのさ」
「怖がってる・・・・?」
「そう、あの子は一人になる事を極端に嫌ってる。それがどれだけ辛い事か、小さいころに思い知ってるからね」
「という事は今までの行動は自分を見てもらいたかったからって事ですか?」
「・・・・そういうことになるかね」

そして黙り込む二人 いつしか外は雨が降っていた

「雨・・・?そういやあいつ笠持ってなかったような・・・・」
「・・・・許してもらえるかね?あの子のこと」
「事情はわかりました・・・・あとはあいつ次第です。んじゃ、俺は用があるのでこれで」
「また来ておくれよ。いつでも歓迎するからね」

そして家に帰り笠を持って希望を探す舞人
公園で一人雨に打たれる希望を見つけ、声を掛ける

「どういうつもりだ?風邪ひくだろうが」
「舞人君・・・・・?」
「お前の婆ちゃんから聞いたよ。お前の過去」
「・・・・・どうして?どうして私のこと心配してくれるの?」
「知り合いが悩んでるのに見捨てられるかよ」

頬を紅くしながら答える舞人
それを見た希望は次の瞬間、舞人の胸に飛び込んで泣きながら謝り続けていた

「まいと、くん・・・・・ごめん、ね・・・・・」

いつまでも泣き続ける希望
舞人はようやく優しい笑みを見せ、希望を抱きしめ続けていた
それはさながら愛しい恋人を慰める男のように・・・・・・・





END





後書き

第7話終了〜!!
舞人「今回は原作に沿った内容だったな」
太陽さんと話し合って決めたんだよ
希望「えへへ、でも最後に舞人君に抱きしめてもらっちゃったよ」
華蓮「よかったわね希望ちゃん」
翠「次は誰が主役なんですか?」
まだ未定。では締めるぞ せーの・・・

「「「「「ご感想、ご意見はBBSかsyuu1kun@navy.livedoor.comへお願いします では!!」」」」」





―おまけ―

「ところで星崎・・・・何も言わずにこの上着を羽織れ」
「・・・?なんで・・・・ってもしかして・・・・」
「・・・・・雨で透けてる」
「・・・・舞人君のえっち♪」
「・・・・いいから羽織れ!!」
「えへへ、舞人君なら見ても良いよ。だってこの世でたった一人の愛する人だもん♪(真っ赤)」
「・・・・(真っ赤)」