―人の一生は重荷を負ふて遠き道をゆくがごとし―

江戸時代の名君、徳川家康が残した名言。
意味は、人生は長く苦しい事が多いので不断の努力と忍耐を持って進み続ける事が大事であると言う事。
俺は今、この言葉を深く噛み締めて生きている。

「思えばあの時始まったんだよな・・・・・このドタバタ劇が」

稟曰く、少しうるさいぐらいのお祭り騒ぎ。
それが俺の今の状態をもっとも正しく表している。
ちなみに何処がお祭り騒ぎなのかと言うと・・・・・・・・

「「「「「舞人(君、さん、お兄ちゃん)〜♪」」」」」

この数人の美少女に言い寄られている状態だったりする。
俺はとりあえず精一杯の引きつった笑顔を見せつつ過去に思いを馳せていた。
あの、まだ平穏だった大学部入学時のことを・・・・・・・











桜舞う・あぷろーち 第1話 











「空は雲ひとつない快晴。うむ!今日もいい朝だ!絶好の登校日和だぜ!!」

俺の名は桜井 舞人。桜学大学部1年で18歳のナイスガイだ!!
となりで苦笑しているのが桜井 桜花。桜学高等部1年で俺の妹である。

「お兄ちゃん、気合入れるのはいいけど早く恋人作ってくださいね・・・・」
「朝っぱらからそれかマイシスター・・・・ま、なるようになるさ」
「はぁ・・・・顔は悪くないのになぁ・・・なんで彼女ができないんですかねぇ・・・・」
「まぁ、そういうこともあるさ・・・」

と言いつつ歩き始める俺たち。
そう、俺は今のとこ恋人という存在がいない(っていうか作る気もあまりないが)。
それを心配しているのが桜花でなんとかして俺に恋人を作らせようとしてくるのだ。

「だけど桜花。お前はどうなんだよ、最近あの牧島と一緒に居る事が多いって聞いてるけど」

牧島 麦兵衛。桜学サッカー部のエースにして全国区のストライカー。
俺の後輩にあたるこの男はとにかくモテる。まぁ長身だし顔良いからな。
性格も真っ直ぐというか決して悪い奴ではないし。

「あれは相談を受けているだけです。それよりお兄ちゃんこそそういう人はいないの?」
「いや、女の子とはよく話すんだけど俺が笑うと何故かみんな顔を赤くしてどっかに行っちゃうんだよ」
「・・・・・そ、それはお兄ちゃんの笑顔に見惚れたからだと思うんだけど(汗」

微妙に引きつった笑顔を見せる桜花。


「だが俺は別にカッコイイって訳じゃないだろ?山彦クラスなら話は別だが」
「・・・・・相変わらず鈍感ですね。お兄ちゃん」

ちなみに山彦というのは俺の同年代の親友で本名は相楽 山彦。
所属学部は医学科(どうやら親の後を継いで医者になる模様)。
にしても鈍感って・・・・・何の事だろう?
おっと話し込んでいるうちに学校に着いたか。

「今日からお互いに新一年生か。頑張ろうな、桜花!」
「はい!頑張っていきましょう、お兄ちゃん!」

そう、俺達はここ桜坂学園(通称 桜学)に通う学生なのだ。
俺は文学系の専門学科で桜花は高等部1年生。

「じゃ、俺は今日バイトがあるから」
「はい、気をつけてくださいね。怪我のないように」
「解ってるって。じゃ、後でな!」

そう言って分かれる俺たち。
さあ、校長&教頭の挨拶という地獄の時間が俺達を待っている。

「二人とも話が長いんだよなぁ・・・・・」

俺はそう愚痴りながら学校に入っていく。すると・・・・・・



「み〜つけた♪私の許婚さん♪」



俺は可愛らしいアニメ声に驚いてバッと後ろを振り向いた。
するとそこに居たのは腰まで伸びた黒髪が似合う美少女だった。

「え、えっと・・・君は?それに許婚って・・・・?」
「えへへ♪それはね「おーい、いたぞー!!」ってもう!いいところなのにぃ・・・・」
「な、なんだあの人だかりは!?」
「ごめんね、私行かなくちゃ。説明は今度会った時にするね」

そう言いつつ俺の頬にキスをして走っていく美少女。
それを追って走り去っていく男だらけの集団。
俺は固まりつつ顔が真っ赤に染まるのを感じていた。
それと同時に何故かこう思ってしまった。

「俺の平穏な学生生活は終わったのかもしれないな」と・・・・











入学式、クラス発表、初顔合わせと終り、今は帰宅途中だ。
さあて、バイトの前に本屋でも行くかな・・・・
よっしゃ、近道で路地裏を・・・ってあれは!?

「やめてくださいったら!!」
「ぐへへへ、いいじゃんかよう。俺と一緒に楽しもうぜぇ」
「嫌です!!離してぇ!!」

変態に襲われている少女発見。
相手は・・・・・・・うむ、時代錯誤もいい所のモヒカン野朗か(爆)。
よっしゃ!!いっちょぶちかますか!!

「てぇえええりゃああああ!!」
「グハアアアアッ!!」

俺が放った飛び蹴りで吹っ飛んでいくモヒカン君。
うむ、我ながらナイスキック!!

「な、なんだテメェ!?」
「テメエみたいな奴見るとどうにもほっとけないんでな。おい、大丈夫か?」
「は、はい!!大丈夫です!!(うにゃ〜!!かっこいいよ〜!!)」

途端に顔を真っ赤にする少女はさておき・・・・・
う〜ん、単なるチンピラさんかな・・・・筋肉もそれほどないし。

「ナイト気取りもそこまでにしとけやニイチャン!!ぶっ殺すぞコラ!!」
「やれるもんならやってみな。もっともお前が五体満足で居られるんなら、な!!」

俺はそう告げるとすぐさま殺気を目の前に居る変態にぶつける。
すると変態は世界を狙えるようなダッシュで逃げていった・・・は、はえぇ。
とりあえず、この子を安全な場所に連れてかないとな。

「おい大丈夫か・・・って腰が抜けちゃったか。」
「は、はい。すみませぇん・・・」
「ははっ、しょうがないさ。よっぽど怖かったんだろう?無理しなくていい(ニコッ)」
「!! は、はい!ありがとうございました!!(やっぱりかっこいいよ〜!!」
「俺は桜学専門学科の桜井 舞人。ええと・・・・」
「え!?先輩なんですか!!私も桜学なんですよ。高等部2年の芹沢 かぐらといいます」
「せりざわかぐら・・・・・ああ!青葉ちゃんの友達か!!」

青葉ちゃんは俺達のアパートのお隣さんで本名は森 青葉(父親のシゲさんと二人暮し)
俺にとっては第二の妹的存在でよく桜花も世話になっている

「青葉ちゃんのお知り合いの方なんですか?」
「ああ、隣に住んでるよ。かぐらちゃんのことも聞いてるよ。明るい良い子だって」
「青葉ちゃ〜ん!ありがとう〜!!」
「ま、まあとりあえず安全な場所に行こうか」
「はい、お願いしますね。舞人さん!!(きゃ〜、名前で呼んじゃった♪)」
「了解だ。んじゃ行こうかかぐらちゃん。」

程なくして復活したかぐらちゃんを連れて路地裏を出る俺。
バイト先の店長に事情を説明すると「大変だったね。ここで休むといい」と言ってくれた。
だがかぐらちゃんは・・・・・・・

「さっきの恩返しです!!私も手伝います!!」

と燃えていた。おお、バックに業火が見える・・・・・(汗)。

「え、えーと・・・・・じゃあ舞人、面倒見てやってくれ」
「は、はい・・・・・」
「よろしくお願いします!!」

ちなみに燃えているかぐらちゃんは俺以上に仕事ができたのは別のお話・・・・








そして数時間後。

「よし、2人とも上がっていいぞ、ご苦労さん」
「「お疲れ様でした〜」」

店長に許可を貰い帰宅する俺たち。

「さーて帰るとするか。かぐらちゃんはどうする?」
「さっき青葉ちゃんに連絡して今日は泊め「かぐらちゃ〜ん!!」・・・ということです」
「りょ、了解・・・・お、シゲさんもいるな。俺はちょっと買い物があるから」
「はい、また後で」

そして買い物をするべくスーパーに向かう俺。だが・・・・・

「いたぞー!!」

黒服の集団(何故か胸にはハートに羽が生えたような模様のワッペン)にあっという間に囲まれた俺。

「な、何だお前ら!?」
「「「「「「俺たちの姫君を誑かす者め!!桜井 舞人、覚悟!!!」」」」」」
「いや意味解らんし!?」
「「「「「「問答無用ー!!」」」」」
「くそっ、こうなったらっ!!」
「なにっ!?」

とりあえず近くに居た男に金的を食らわしさっさと逃げる。

「あうぐがぐごごご・・・・・・」
「何だか知らんがこの人数を相手にしていられるかっ!」
「逃げたぞっ!追えーっ!!」

だが奴らは凄まじい顔をして追いかけてくる。
な、なんか怖いぞあいつらっ!?
 
「こっち!! 早く!!」

と言う声が聞こえたので指示に従い身を隠す。
するとそこには緑色のショートカットがよく似合う美少女が一人。

「サ、サンキュー。助かったよ。しかし何もんだあいつら」
「あいつらは私の知り合いの親衛隊でね。通称ロイヤルガードって言われてるやつらだよ。」
「し、親衛隊か・・・・っと。俺は桜井 舞人。さっきはサンキューな。」
「私は八重樫 つばさっていうんだけど・・・・ねえ、舞人」
「な、なんだよ・・・って顔をそんなに近づけるなって」
「頼むから・・・・私に・・・・・惚れてくれない・・・・?」
「聞いてねぇ・・・って・・・・ええええええええー!?」

突然の告白に慌てる俺。だが八重樫はお構いなしに体をすり寄せてくる。
桜花をいつも見てるから多少は女の子の体というものを理解していたつもりはあるんだが・・・・・
それでもドキドキしてしまうのは俺も正常な男なんだろうな(汗)。
そして八重樫が自分の唇を俺のそれに当てようとした瞬間!

「桜井舞人発見!!奴はどうやら動けなくなっている模様!!至急増援を求む!!!」

さっきの黒服が現れた(しかも無線で仲間を呼びつつ)。
八重樫は体を離して忌々しい顔で黒服の男を睨んでいる。
チャンス!!逃げるなら今しかない!!

「さ、さいなら〜!!」
「ああっ!!待て〜!舞人〜!!」

全力で逃げる俺となかなかの足で追ってくる八重樫(黒服の連中も)。
この追いかけっこは約1時間もの間続き、俺はなんとか逃げ切れた。
そして周りを警戒しつつも帰宅。するとそこにいたのは・・・・・・・

「「「おかえりなさ〜い♪」」」

桜花、青葉ちゃん、かぐらちゃんだった。
ふむ、妹分が勢ぞろいか・・・・・

「みんな今日はうちで飯食うのか?」
「はい、シゲさんが急な用事が入ったという事で」
「ごめんね、お兄ちゃん。私とかぐらちゃんだけになっちゃったから」
「お世話になります、舞人さん」

シゲさんも大変だなぁ・・・・・・・

「ああ、全然構わないよ。さ、早く飯食っちゃおう。夜更かしは体に悪いしな」
「「「はーい」」」

そしてみんなで夕飯を食べて、今日の出来事を話し合い、寝た。
どうか、明日は平穏な一日でありますように・・・・








―ちなみにその夜のみんなの寝言は―

「zzzz・・・なんでこんなに女の子がぁ」
「ムニャムニャ・・・お兄ちゃん頑張ってください・・」
「う〜ん、舞人さんかっこいいですぅ・・・くー」
「スヤスヤ・・・・舞人君は渡さないよ・・・」
「舞人〜・・・・いい加減私に惚れてよ〜・・・・」
「おにいちゃんファイトだよぉ・・・・」











こうして俺の騒がしい日常は幕を開けた。
この先どうなるかは俺も作者もわからない(まあね!!by作者)。
だが、一つだけ言わせてほしい・・・・・・・

「俺の平凡な日常を返してくれ〜!!」と・・・・・









後書き

新連載スタート!!
華蓮「Φなる・あぷろーちの世界とそれ散るの世界をドッキングしました」
翠「この先はどうなるか作者もわかりません♪」
ま、気長にやっていくんでよろしくです。では

「「「ご意見、ご感想は掲示板かsyuu1kun@navy.livedoor.comへお願いします。では!!」」」