「ん・・・・・朝か・・・・・・・・」

いつもより思い感じのする体を起こし、朝食の準備をする俺。
今日はテスト当日の為早めに家を出て、教室で範囲を見直す必要がある。
だけど、俺はここに来て未だ答えを見出せていなかった。

「星崎・・・・・・・希望、か・・・・・・・・」






IMITATION or TRUTH 第2話






朝食を取り終え、いつもの通学路を歩く。
ふと空を見上げれば快晴その物。
だが俺の心は曇ってるというよりなんだかモヤモヤしてる感じがする。

「・・・・・ちっ、何なんだこの感じは・・・・・・」

何故か苛立つ自分を懸命に押さえ、ちらほらと見え始めるクラスメイトと挨拶を交わす。
途中、山彦が見えたので声をかけてみた。

「よぅ、銀髪色魔。昨日は彼女とお楽しみか?」
「お、舞人か。まぁそんな所だ。勉強もアイツに教えてもらってたが」
「やれやれ、試験前日まで煩悩全開とは呆れて物も言えませんよ私は」

そう軽口を叩きあいながら歩く俺たち。
だが、校門に差し掛かったところでその状況は一変する。

「おはよう、桜井君、相良君」

人懐っこい笑顔で挨拶してくる長髪の女子生徒。
言わずと知れた、星崎 希望。
そして、俺の苛立ちの原因とも言える女。

「あ、ああ。おはよう星崎」
「おはよ、星崎さん」

何故か焦りを感じる俺を尻目に、星崎は俺の隣に並び校舎へと向かう。
コイツ・・・・・・本当にいつも通りだな・・・・・・
これから犯罪行為をするって理解してんのか?

「ありゃ・・・・・・・また居るよまったく・・・・」

突然山彦が苦虫を噛み潰したような表情で呟いた。
その目線の先には数人の女子生徒。
ネクタイの色からして1年の子か・・・・・・・・

「悪い舞人、俺の上履き教室まで届けといてくれ」
「仕方あるまい。貸し一つな」
「へいへい。じゃあまた後でな」

そう言いつつ去っていく山彦。

「ねえねえ桜井君。なんで相良君あの子達から逃げてるの?」

俺の服をチョイチョイと引っ張りながら尋ねる星崎。
その様子は子猫みたいでなかなか可愛い。

「あの子達は山彦のファンなんだ。だけど山彦は彼女居るからあまり相手にしたくないんだとさ」
「なるほど・・・・・・人気者は辛いよねぇ」
「お前もその一人だろうが・・・・・」

苦笑して納得する星崎にジト目で突っ込む俺。
気を取り直し、さっさと教室に入る事にした。
時間も惜しい事だし。

「さて、行くぞ星崎。早めに教室に入りたいからな」
「あ、そうだね」

そして星崎を伴って校舎へ入っていく俺。
だが途中でトイレに行きたくなり、鞄を星崎に預けトイレに入る。
すると其処には先客が居た。

「あ、来栖先輩・・・・・・」
「あ、桜井君。おはよう」
「おはよっす」

用を足しながら穏やかな笑みを浮かべ挨拶してくる先輩、来栖 樹。
この人は去年までは目立たない人だったが、今では学校の有名人の一人だ。
ちなみに有名になった理由はというと。

「一之瀬先輩、元気っすか?」
「ははっ、アイツから元気を取ったら何も残らないよ」
「き、キツいっすね来栖先輩・・・・・・」

そう、来栖先輩の恋人にして俺の中学時代の先輩、一之瀬 響。
この人は根はいい人なんだけど何故か問題児扱いされている。
まぁ本人は「気にする事ないってー」と笑ってたが。

「ところで桜井君。何か悩み事でもあるのかい?」
「・・・・・・・なんで分かるんすか来栖先輩」
「なんとなくそう見えたからね」

流石は来栖先輩。俺の考えてる事はお見通しのようだ。
伊達に一之瀬先輩の恋人やってないか・・・・・・

「ちょっと此処じゃ話し難いんですが」
「ああ、場所を変えようか」

俺たちは頷き合うと校舎裏へ移動した。
此処なら生徒はほとんど来ないから話はしやすい。

「此処ならいいだろ?誰も来ないし」
「ええ、実は・・・・・・・・・」

そして俺は全てを話した。
星崎の事自分の事その他もろもろ。
この人ならなんとなく理解してくれるだろうと思ったから。

「ふぅん・・・・・星崎さんが、か・・・・・・」

やがて全てを話しきったとき、来栖先輩が腕を組んで呟く。

「はい・・・・・・俺、どうしたらいいのか分からなくて」
「だろうね、僕もそうだったし」
「・・・・・・先輩も?」
「うん。去年のテスト、響にカンニングの手伝いさせられたし」
「・・・・・はい?」

突然のカミングアウトに目が点になる俺。

「実はね・・・・・・・・・」






教室に戻りながら俺は考え事をしていた。
来栖先輩に聞いた過去の話。
それは俺と全く同じ状況。だけど、来栖先輩は言った。

「自分の思うままにやればいい。後のことは考えるだけ損だよ」

その解答は俺をますます混乱させてくれた。
不安、疑問、期待、躊躇・・・・・・様々な感覚が俺を思考の迷宮に閉じ込め続ける。






「自分の思うまま・・・・・か・・・・・・・」






END