俺の名は桜井 舞人。
自分で言うのもなんだが何処にでも居るごく普通の男子生徒だ。
勉強運動人並みに、顔立ちも目立つところなく。
そんな恋愛には程遠い存在だった
俺があんなことになるなんて夢にも思わなかった。



―次のテストでカンニングさせてほしいの。赤がなければ私の処女あげるから―




IMITATION or TRUTH 第一話
文:秀一
設定:太陽


「・・・・・んぅ・・・・・あん・・・・・・山彦ぉ・・・・」
「もうこんなに・・・・・Hだなぁお前は」


「やれやれ・・・・・・相変わらずだなあの銀髪色魔め」
隣から零れてくる嬌声を耳にし溜息をつく俺。
最初は抵抗があったものの今ではすっかり慣れてしまっている。
最も文句を言ったところで山彦が止める筈がないのも理由の一つだが。

「ちっ、今夜もこの壁の薄さのせいで寝れそうに無いな」

俺はそうつぶやくと本棚から適当に本を取る。
ん?これは・・・・・・

『しゃっふる!』

「ああ・・・あのコメディのか」

俺は本の1巻をとると読み始める。
数時間後、全巻読破・・・・・そして今は夜4時。
隣は静かになったが、いまさらな時間でもう目がさえてしまっている。
俺は再び本棚に手を伸ばし時間をつぶすことにした。

「ったく、アイツも少しは自重しろっての・・・・・・・・」

ま、そんな愚痴を言っても聞く奴じゃないけど・・・・・・・・・・・
それに俺がもう一つ眠れない理由もあるし。

「星崎、希望、か・・・・・・・・」





翌朝
俺は早い時間についた。
まあ、しょうがないといえばしょうがない。
なんせあんな状態だからな。
俺は、机に教科書とかをいれていく。

「おっす、さくっち♪」
「ああ、八重樫か」

俺の席へ近づく女生徒が一人。
この女の名は八重樫 つばさ。
成績優秀スポーツ万能の、いわば完璧超人。
中学の頃からの知り合いで、よく一緒に勉強したりしていた間柄だ。

「なんか眠そうだけど、なんかあったん?」
「まぁな、ちょっとしたアクシデントってやつだ」
「ふぅん・・・・・・テスト明日なんだから気合入れろよ?」
「勿論だ」
「よろしい♪」

俺の返答を聞くと自分の席に戻っていく八重樫。
俺はその後姿を見届けると1時間目の準備をする。
おや?廊下が騒がしい・・・・・・もしや。

ガラガラガラッ!

「よう!舞人」
「やはりお前かこの銀髪色魔め・・・・・・」

俺の安眠妨害の原因が来た。
こいつは相楽 山彦。
この学校に入って仲良くなったやつだが、彼女と暑い夜をよくすごす。
学校でも人気があり毎朝女生徒に声をかけられている。
もっとも本人は鬱陶しいらしく、あまりいい顔はしないが。

「お前のおかげで俺様は今日も寝不足なんだがな」

と俺は皮肉をこめて言うが・・・・・

「あ、悪い悪い。アイツ声大きいからなぁ」

とさらりとかわされた。所詮いつもの事だからこれ以上話していてもしょうがないだろう。
それに・・・・・・・

「おはよ〜。桜井君♪」

来た・・・・・・・・・・・俺にとっての厄介者パート2・・・・・

「ああ、おはよう星崎」
「おはよ、星崎さん」

俺と山彦に挨拶をしてくる女子生徒、星崎 希望。
山彦曰く、「立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花を具現化したような美少女」
だが、星崎にはある一つの噂が立っている。


―星崎は5000円で男と寝ている―


いつからこの噂が立ったのかは知らない。
だが、星崎本人は気にすら留めない上に周りに媚びない性格のため、この噂は最早この学校の常識となっている。
以前星崎に気にならないのか?と聞いたら

「別に放っておけば良いよ。根も葉もないただの噂だし」

と、あっさり返されたのは記憶に新しい。
まぁ本人がそれで良いなら俺には何も言えんが。

「全員、席に着け。HR始めるぞ」

担任の教師が教卓に立ち、話を始める。
だが、俺はそれを聞く気にはなれない。
俺の頭の中では、昨日の放課後の一シーンがリフレインされているから。
あの、夕日を背にした星崎に言われた事が・・・・・・・・






―桜井君、次のテストでカンニングさせてほしいの。赤がなければ私の処女あげるから―
―・・・・・・・・は?―
―こんな事頼めるの桜井君くらいだから・・・・・・お願い!!―






とまぁ、信じられない事を言われた。
しかも今まさに隣の席で授業を受けている、星崎 希望に。
しかも、






-先払いはこれでいいよね-
―え?・・・・・・んん・・・・・ぷはっ―
-えへへ、これで契約だよ。今はまだキスだけだけどね-






柔らかく、極上の甘さを持つ星崎の唇。
俺は、この時から、もう星崎に虜になってしまったかもしれなかった。
契約・・・・・・その言葉は、もう、俺の頭から、離れない・・・・・・・・・・




あとがき
イミテーションオアトゥルース。
略してイミトゥル第1話、いかがだったでしょうか?
舞人「また連載増やしやがってこのへたれ作家が・・・・・」
希望「でも私と舞人君のセットは忘れてないね♪感心感心♪」
まぁ一番好きなCPだしね・・・・・・
華蓮「しかし随分とまた異色なSSね」
翠「八重樫さんも絡んできそうですし・・・・・」
ま、その辺は太陽さんと話し合いながら書いていきます。
では、イミトゥル第2話でお会いしましょう。ではでは♪