二人の美女に挟まれて起きた気持ちのいい朝
なのに俺はこの後のことを考えると途端にブルーになってしまう
何故なら・・・・




今日は親御さんたちにご挨拶をしに行く日なのだ




BLESS MIDNIGHT 第3話




「うぅ・・・・ついにこの日がやってきてしまったか」

カレンダーの赤丸がついてある所を見て溜め息が出る俺
とりあえず胃薬用意しとかなきゃ・・・・
胃の痛くなるような日になる事まちがいなしだからな

「秀晃君、おはよう。準備できた・・・・って見りゃわかるか」
「秀晃さん、おはようございます♪今日は頑張ってくださいね」 

笑顔で挨拶してくる華蓮と皐
っていうかこいつらも関係あることなんだが・・・・まぁ話はしてあるからなんだろうな

「うっし、行きますか!!」
「その意気よ、秀晃君♪」
「さあ。いざ、戦場へ!!」

そうして決意を固めた俺たちはそれぞれの親御さんに挨拶をするべく、車を走らせる
どうか、今日という日が終わったときに俺の命がありますように・・・・・・





―そして深夜―

「お、終わったぁ・・・・・・ああ、生きてるって素晴らしい!!」
「お疲れ様、秀晃君。これで明日から大所帯になるね」
「ああ、引越しの事も考えないとだな・・・・・」

一通りの挨拶を終え帰宅した俺達
皐たちは最後の親孝行をするべく、それぞれの家にいる
では、それぞれの挨拶の風景をご覧頂こうか・・・・・・・



―観月 華蓮編―

「さ、まずは私からね」
「まぁ、何度も会ってるし問題ないな」
「ええ。じゃ、行きましょうか?」
「おっし、いっちょやってやるか!!」

そうして家に入った俺たちを待っていたのは・・・・

「華蓮&秀晃君 結婚決定記念パーティー」

と書かれた垂れ幕と、物凄い笑顔のご両親&親戚一同だった

「華蓮、よくやった!!秀晃君、華蓮を頼むぞ!!」
「二人ともしっかりね。孫は二人ほど欲しいわぁ」
「お、お父さん!!お母さんもはしゃぎすぎよぉ」
「あ、あはははは・・・・」

顔を真っ赤にして怒る華蓮と苦笑して事の成り行きを見守る俺
その後、一時間ほどして挨拶を終え、次があるからと言って家を出た
華蓮が疲れきってもうあの家には行かないと言っていたのは別のお話・・・・・





―比奈山 皐編―

「次は皐の家です♪」
「お袋さんはいいけど親父さんがなぁ・・・・・」
「お母さんが説得するからって言ってましたけど」
「むう・・・・ま、覚悟決めていきますか」

そしてインターホンを押し中に入る すると・・・・・

「ヤア、ヒデアキクンマッテイタヨ。サツキノコト、ヨロシクタノムゾ」
「うふふ、皐、たっぷりと可愛がってもらいなさいね」

物凄い殺気を親父さんに叩きつけているお袋さんと冷や汗をだらだら流している親父さんだった
皐はお袋さんの殺気に当てられたらしく涙目になって震えている
まぁ、長年一緒に居たんだしどれほど怖いのかわかるんだろうな・・・・

「え、えっとこれからもよろしくお願いします」
「お父さん、お母さん。今までお世話になりました」

一応、形式どおりの挨拶を済ませる俺達
そのままこれからの事を少し話し合って俺は次の場所に向かうことにした

「じゃあ、皐。また明日な」
「はい、これからもよろしくお願いしますね。秀晃さん♪」
「了解だ、じゃ、またな」

皐は最後の親子水入らずの時間を過ごしたいと言って残る事になった
さて、後二つ・・・・・気合入れていくか!!





―矢野原 まきえ編―

「次はまきえか。あいつあれでもお母さん子だからな」
「ええ、間違いなく感動物のシーンになるわね」

そしてまきえの家の駐車場に着く俺達
まきえのS14も止まっている
そして・・・・・

「にゃにゃー!!お待ちしておりましたー!!」

普段どおりのネコ娘一人発見・・・・・いやしかし・・・・

「あいつ・・・・・」
「ま、まぁまきえちゃんらしいわね」
「いや、かなり無理してる・・・・・・いつものまきえじゃない」
「しょうがないわよ・・・・なにせ今日は特別な日だもの・・・・」
「ああ・・・・まきえ達にとっても、俺達にとっても、な・・・・・」

まきえの案内で家に入るとすでにまきえのお母さんが正座で待っていた

「お久しぶりですね、秀晃君」
「はい、小母さんもお変わりなく」
「ふふふ・・・・まきえから話は聞いてるわ。まきえの事、よろしくね」
「お任せください。皆で幸せになって見せます」
「お母さん・・・・・・・」
「まきえ、やっとここまで来たんだから。幸せになりなさいね。」

小母さんの優しい笑みを見たまきえは、眼に涙が溜まっていた

「は、はい・・・・・おかあ、さん・・・・・う、うわああああん!」
「よしよし・・・・・」

小母さんの胸で泣き続けるまきえ 隣にいる華蓮ももらい泣きしている
俺はというと数年前にした約束をようやく果たせた事で胸をなでおろしていた

「ほら、まきえ。何時までも泣いていないの。貴女はこれから秀晃君のお嫁さんになるのよ」
「う、うん・・・・秀晃さん、これからもよろしくお願いします」
「ああ、こちらこそな」

そして明日からのことを話し合い、まきえを連れて出て行く
さぁ、ラストだ・・・・・この日一番の難関だな・・・・





―佐倉 雪乃編―

「いよいよ雪乃の家か・・・・・」
「秀晃君、私は車で買出しに行ってくるわ」
「ああ、そうしてくれ。終わったら連絡する・・・・・・まきえは付いて来てくれ」
「はーい」

華蓮を見送ったあと佐倉家のチャイムを押す
中から出てきたのは智津子さんだった だが様子がおかしい

「智津子さん?何かあったんですか?やたら疲れてますけど・・・・」
「秀晃君・・・・・ガンバッテネ・・・・」
「ちょ、ちょっと智津子さん!?なんで片言なんですかぁ!?」
「ふにゃー、まさか御主人が何か企んでるとか!?」
「うーん、当たらずとも遠からじってとこね・・・・」

智津子さんの後について中に入る俺達
リビングに行くように指示されたまきえと別れ、雪乃と小父さんが待つ書斎へと向かう

「失礼します、仲原 秀晃、ただ今参りました」
「鍵は開いている、入りたまえ」

指示に従い中に入ると、予想通りふたりが待っていた

「雪乃から全て聞いている・・・・雪乃を嫁にしたいのだな?」
「はい。俺の事をここまで思ってくれる子を突き放すわけにはいかないですから」
「・・・・・いい眼だ・・・・強い意思を秘めた眼・・・・久しく見なかったものだ」
「お父さん・・・・・」
「雪乃、お前には苦労ばかりかけた・・・・・秀晃君に幸せにしてもらいなさい」
「・・・・は、はい・・・・・・」

静かに泣き始める雪乃 小父さんは優しく抱きとめている
そして小父さんは俺のほうへと振り返りこう告げた

「秀晃君、雪乃の事頼む」

その一言が出るまでに、雪乃が、そして他の面々がどれだけ苦労してきたか俺は知っている
だからこそ、中途半端な言葉は要らない 俺が言うべき言葉は一つだけだ!!

「はい!!」

言い終わった瞬間、雪乃が俺の胸に飛び込んできた
俺たちが交わすべき言葉はもう決まっている

「秀晃さん、これからもよろしくお願いします」
「ああ、こちらこそよろしくな」

俺たちは言い終わるとお義父さんにお礼の言葉を言い、リビングに向かう
だが、そこに待っていたのは

「雪乃、おめでとう!!」
「おめでとう、雪乃ちゃん!!」
「がんばれよ、先は長いぜ!!」

佐倉家の親戚一同の暖かい声援だった
雪乃は感極まって皆の輪に飛び込んでいった
俺もそれに習い、輪の中に入っていく

「みなさん、ありがとうございます」
「おっ、君が秀晃君か!!雪乃の事頼むぞ!!」
「雪乃を悲しませないでくれよ!!」
「頑張ってね!!」

そして楽しいパーティの始まり
途中で華蓮を呼び出し合流させ、4人で挨拶を済ます
だが、俺は嫌な予感をひしひしと感じていた
そう、入り口で見せた智津子さんの様子がどうも気になっていたのである

「どうしたの?秀晃君」
「あ、もしかして智津子さんの・・・?」
「当たりだ・・・多分、このあと何かあるぞ・・・・」
「ヒデアキサン、ガンバッテクダサイネ・・・・・・」
「!?ゆ、雪乃さん?それはいったい・・・・」

詳しく聞きだそうとした俺
だが、その問題はすぐに解決される事となる
そう、他ならぬお義父さんの手によって・・・・・

「ふふふ・・・・・これより!!佐倉家に代々伝わる伝統行事、当主 対 婿殿 の、飲み比べを始める!!」
「な、なんですと!?そんな行事あるのかよ!?」
「は、はい・・・・」
「なんでも昔かららしいわ・・・・・初代が物凄い酒豪だったって」

雪乃と智津子さんがルール説明をしてくれる なになに・・・・・

・大皿に次々と注がれる酒を早く飲み干したほうが勝ち
・妨害は認めない
・死して屍拾う者なし(要するに酔いつぶれても誰も助けてくれない)

だそうだ・・・・・っていうか死して屍拾う者なしって・・・・(汗

「まぁ、勝てばいいだけの話だな」
「頑張ってください!!秀晃さん!」
「任せとけって!!・・・・さぁて、こっちは何時でも良いですよ!!」
「ふむ、その意気や良し!!では・・・・・」

「佐倉家当主、佐倉 幸三(こうぞう)!!」
「仲原家当主、仲原 秀晃!!」

「「いざ、尋常に勝負!!」」

そして始まった飲み比べ
序盤は義父さんが有利だったものの、それは俺がわざとペースを上げなかったから
中盤に入って俺が追い上げる展開になり、お義父さんに焦りが見える
そして終盤に入り、見事逆転勝ち。危ない所だった・・・・

「よっし、飲みきった!!」
「そこまで!!勝者、仲原 秀晃!!」
「やったー!!秀晃君の勝ちー!!」
「秀晃さんやりましたね!!」
「秀晃さん凄いです・・・・・あんな量のお酒を・・・」
「ええ、全くだわ・・・・上には上がいるって事ね・・・」

華蓮がいなくなった時、いつも飲んでいた酒がこんな所で役に立つとはな・・・・・
人生何が功を奏するか解らないものだな
ちなみにお義父さんはふらふらになりながらも飲みきっていた

「ふ、ふふふふふ・・・・やられたな・・・・」
「だ、大丈夫ですか?お義父さん」
「ああ、大丈夫・・・・と言いたい所だがやはりきついな・・・・部屋で休ませてもらうよ」
「では、肩を」
「いや、君は主賓なんだから楽しんでいきたまえ。雪乃の事・・・・・頼んだぞ」
「・・・・はい!お義父さん!!」

お義父さんは俺の返事を満足そうに聞き遂げた後部屋に戻っていった
その後パーティーはすぐにお開きになった

「さて、帰るか」
「ええ、そうしましょう」
「私達は残りますね」
「秀晃さん、又明日お会いしましょう」
「ああ、又明日な」

そして華蓮が運転する車で帰宅した
華蓮は酒を飲まなかったため捕まる心配もない
さすがに30万はきつすぎるからな・・・・・




―回想終了―  

「これで明日からは4人の妻持ちかぁ」
「ふふっ、頑張ってね秀晃君♪」

帰宅した後俺達は、すぐさま風呂に入り寝巻きに着替えた
さて、二人きりの最後の夜か・・・・存分に楽しませてもらうとするか♪

「か〜れ〜ん♪」
「え?ちょ、ちょっとひであ・・・・きゃあああ〜♪」





その夜、俺達は朝まで甘い一時を過ごしていた
翌日の仕事がとてつもなくきつい物になったのは別のお話・・・・・
しかも華蓮も同じ状態だからバイト仲間に締め上げられたのはもっと別のお話・・・・・





END 




後書き

今回は回想がメインでした
華蓮「秀晃君ったら〜。もう腰がガクガクよぉ」
秀晃「すまんすまん。華蓮があまりにも可愛いからつい」
華蓮「も〜、秀晃君のH♪」
・・・・さて、翠。とっとと締めて遊びにでも行くか
翠「そうですね。完全に二人の世界に入ってますし。せーの!!」

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