二人だけのクリスマス 〜降り積もる幸せの中で〜

written by 龍馬





今日はクリスマス。

街は、家族で祝う人々、二人寄り添う恋人達、それぞれが愛する人達と共に過ごそうとする人々で賑っている。

美しく飾り付けられたクリスマスツリーも、その雰囲気を一層にかもしだし、街は聖夜を祝福するムードに包まれていた。

しかし、そんな街のお祭・お祝いムードを余所に、芙蓉家では稟と楓が二人だけの静かなクリスマスを満喫していた。



「静かですね・・・」



「そうだな・・・」



リビングのソファーに腰を下ろし、クリスマスで賑う街の姿をテレビで見ながら、二人肩を寄せ合って言葉を漏らす。

二人からこのような感想が漏れても仕方が無いのかもしれない。

いつもなら、お祭騒ぎ好きのお隣さん・・・神王家と魔王家の住民が、クリスマスだけでなく、とにかくお祭イベントがあろうものなら、必ずと言ってもいいほど押しかけてくるはずである。

だが、残念?ながら、両家とも神界・魔界で大事な行事があるといい、泣く泣く(泣いていたのは神王&魔王だが)帰省していった。

その時に、芙蓉家に居候しているプリムラも、検査期間が迫っていたので、こちらも魔王家に連れられて魔界の研究所へと向かった。

中学生時代の先輩である亜沙も、その親友であるカレハ・妹のツボミも家族で過ごすらしく、今年ばかりは毎年恒例?のクリスマス会は中止となった。

ある意味残念なことであるが、それよりも稟には気になることがあった。

クリスマスに、一緒に過ごすことのできないと寂しそうな表情を浮かべた彼女達・・・シア、キキョウ、ネリネ、プリムラ、亜沙、カレハ、ツボミ・・・のことであった。

彼女達は皆、今傍にいる楓を含めて稟の婚約者である。

稟自身は、まだ彼女達が婚約者ということに戸惑いはあるが、しかし、済し崩しに決まったとはいえ、それでも大切な存在であることには変わりない。

だから、少し彼女達の淋しげな表情を思い浮かべると、どうしても気がかりである。



「少し淋しい・・・かな?」



稟は、そう言葉を漏らす。

その言葉の意味を悟ってか、楓が微笑みながら言葉を返した。



「クスッ。そうですね。やっぱり皆さんがいないと少し淋しいですね・・・・・だけど・・・」



「だけど?」



「私が、稟くんを独り占めで来ますから・・・皆さんには悪いですけど、とても嬉しいです」



楓は顔を赤く染めながら、稟に更に体を寄せた。

その姿は、傍から見れば、まるで二人が抱き合っているようであった。

また、稟も楓のストレートな告白と、大胆な行動に少し戸惑ったが、自身も顔を赤くしながら、楓を包み込むようにして抱きしめた。



「稟くん・・・」



「俺も・・・少し嬉しいのかもしれない。言葉にするのは恥ずかしいけど・・・楓と二人きりで居られることが・・・」



楓を抱きしめたまま、稟は顔を赤くしたまま答えた。

楓は、そんな稟の顔を瞳を潤ませて見つめた。

自然と稟と視線が交わる。

それだけで、お互いの今の気持ちを理解し、唇が重なるまでの言葉は、二人にはいらなかった。



「稟くん・・・」



「楓・・・」



お互いの唇が重なり、二人は抱き合ったままソファーへと倒れた。

ただ求めるのは互いの温もり・・・そして、二人にある愛を確かめるため。



・・・幼なじみである二人・・・



二人が互いの想いを通じ合うまで、様々な経験をした・・・。



少女は、かつて、幼なじみであり想いを寄せた少年の一言の嘘から、彼に憎しみを抱き、殺意まで抱いた・・・。

しかし、彼の嘘は、絶望の淵にあった少女を救うための・・・優しい嘘。

少女は、その嘘を信じ、彼を傷つけた・・・しかし、傷つける度に圧し掛かる罪悪感・・・彼を想い続け、彼のことが好きであることは変わること無いと自覚してしまう心・・・その矛盾に苦しんだ。

そして、真実を知ったときの彼への消えること無い罪の意識・・・。

彼が許しても、少女は自分を許すことができなかった。



・・・だけど、一度気づいてしまった彼への想いは止めることができなかった・・・



彼が好きだと気づいても、彼を愛していても、彼に愛されることは許されない・・・。




それでも・・・想いは止まらない・・・・・



しかし・・・少年は・・・彼女を愛した・・・。



彼女を・・・罪の呪縛から解き放った・・・。



少年も苦しんでいたのだ・・・罪の意識に・・・・・



彼女を救うことのできない・・・もどかしさ、苛立ち・・・・



だからこそ・・・彼は、少女の全てを受け入れ・・・そして・・・愛することを誓った。




「稟くん・・・稟くんっ!!」



「楓っ!!・・・・・」



二人の行為は加速していく。

お互いが、相手を想うがゆえ・・・。

そして、お互いが昇りつめたとき、稟は楓に沢山の愛を注いだ・・・。















二人は脱力し、お互いの体を抱きしめたまま、息を整える。

そして、再び唇を重ねた。



「稟くん・・・」



「なんだ・・・?」



息を整え、唇を離した後、楓が稟に言葉を述べた。



「私・・・今、すごく幸せです・・・・・」



「・・・俺も」



お互いに言葉を交わし、見つめ合ったまま、笑い合う。

しばらく、笑い合っていると、楓が、



「!・・・稟くん!!窓を見てください!!!」



「え?」



楓がソファーから立ち上がり、窓へと向かう。

稟も起き上がって、楓の後に続いた。



「稟くん・・・雪ですよ」



「本当だ・・・」



窓の外では、何時の間にか雪が降っていた。

ひらひらと、白い雪が外の世界を、銀景色へと変えていく・・・。

この雪は、愛し合う二人に対する、自然からのクリスマスプレゼントなのかもしれない。


二人は、降り続く雪を見ながら、静かに唇を重ねた・・・。



降り積もる雪は・・・



まるで・・・



二人を祝福しているようだった・・・



この雪のように・・・



幸せが・・・



世界中に舞い散り・・・



すべてを包み込む・・・



世界中のあらゆる人達に・・・



Happy Merry Xmas!!





(Fin)

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<後書き>



ども。龍馬です。

今回はクリスマスをテーマに小説を書かせていただきました。

我ながら駄文過ぎて呆れてしまいますが(そんなモン贈るなよ)、文才が無い人間ですので、そのことを頭に入れていただき、拙いところは笑ってスルーしてくださると幸いです。



まあ、ごたごたぬかしても何も進まないので、とりあえず設定を公開しておきます。



・稟はオール(ただし楓をメイン)としたEDを迎えている。

・ED1年後?くらいで、二人だけのクリスマスの情景。

・やや性的な表現あり。ただし、全年齢対応(過激表現無)

・甘いところはベタに。ただし大本はほのぼの&シリアスが中心。



とまあ、こんなところでしょうか?

性的といっても、○○○な場面の表現はありませんので・・・。

ただ、稟と楓がどれくらいお互いに想いあっているか?を表わす為に、若干の表現はあるかもしれません。



最後に、このような駄文をお読み戴き、まことにありがとうございました。

それではまた次回に・・・。